インタビュー

アラン・デュカス、味覚について語る

アラン・デュカス

「味覚は教育するもの」

アラン・デュカスは世界で最も有名なフランス料理のシェフで、長年にわたって味の価値を守るために奮闘してきました。子供たちに料理教育を与えることは市民の義務であると同氏は考えます。

あなたの味覚は、フランスのランド地方の家族農園で過ごした子供時代に育まれたとよく語られていますね。今日、都会で育つ子供たちはどうやって味覚を育めばよいのでしょうか ?

私が自然からの恵みに直接触れられる子供時代を送れたのは本当にラッキーでした。家庭菜園で採れたてのレタスとトマトを味わうことができたのですから。野菜は菜園のそれぞれの場所で成長し、ある時期に熟れていきます。それらは店舗で購入する味気ないプラスチック包装の野菜とはかけ離れたものでした。

大人には子供の味覚を育てる義務があります。親の責任は特に重大です。子供に味見をさせ色々なものを試すよう促して、楽しく料理の勉強を始めることが大切です。食べることは歓びであるべきです。学校のカフェテリアでも味覚教育に貢献できることはたくさんあります。ここ数年のカフェテリアの進歩は素晴らしく、様々なオーガニック製品が出されるようになりました。

シェフ、農家、ワイン醸造家達が集まる料理協会のコレージュ・ド・フランスを設立し、『食べることは政治活動である(Manger est un acte citoyen)』を出版されたばかりですね。数十年前から牽引されている味覚促進キャンペーンで、現在直面されている新たなチャレンジを教えて下さい。

私のようなシェフにとって、味の問題は日常の懸念事です。おっしゃったような取り組みもそうですが、レストランで私のチームと共に毎日立ち向かっている時が一番チャレンジしている時です。私たちは日々、供給、季節感、レシピ、下ごしらえにおいて実際様々な問題に直面します。これらは全て味覚の問題であり、これらの問題が食材の本質に忠実に味覚を表現する最良の方法を示唆してくれます。

食材をブレンドする技術は料理の本質ですね。思いもよらなかった最高の組み合わせは何でしたか ?

様々な食材の風味をブレンドするのは非常にデリケートなことです。食材の風味は常にそれとわかるように残しておくべきだというのが私の持論ですが、異なる味を組み合わせることは混乱を招くことにもなりかねません。料理人としては、それぞれのレシピで使用する原料の数を厳しく制限するようにしています。例えば、トマトとラズベリーの調味料を作る際、一緒にサーブされる野菜に最適な量の酸味と甘味を加えるよう緻密にデザインします。私がチェリーとセロリを雛鳥と合わせるのも、このブレンドがそれぞれの食材の長所を最大限に引き出すからです。こうしたブレンドは思いつきで作っているわけではありません。

今でも新しい味を発見することはありますか ? 一番最近の発見は何ですか ?

全部書き留めておく時間はないですよ。私は好奇心の塊です。ヴェルサイユ宮殿の王妃の庭園の若い野菜に舌を巻き、オート・プロヴァンス地方のひよこ豆の畑や、味見したカカオ豆のジュースに仰天する、という具合です。こうした発見はとても刺激的なだけでなく、我々の味覚に一層奥行きを与えてくれるのです。

アラン・デュカスとクスミティーのコラボレーションの類まれなホワイトティー

引用 : 異なる風味を組み合わせることは混乱を招くことにもなりかねません。