お茶

ロシアの伝説的シンボル

サモワール

 

創意あふれる響きを持つ言葉は、ほんの数シラブルで想像力を掻き立てるものです。マトリョーシカ、トロイカ、ウシャンカは、たった3シラブルで私たちを冒険へと誘います。今日はもうひとつ、アイコニックなサモワールに注目してみましょう。 

サモワールはティーポットではなく、実際はケトルです。そしてこのシンプルな見かけの物体には、驚くべき長い歴史が隠されています…

お茶との親密な関係

お茶なしに、サモワールを語ることはできません。茶葉だけでなく、雰囲気、セッティングから味、温度に至るまでのお茶に関するすべてのことです。まずは、驚くべきサモワールの仕組みを簡単に説明しましょう。中央のモジュールは精巧に作られた四つの脚で支えられており、側面に小さな蛇口が付いています。熱した炭を下部に入れ、サモワールの中でゆっくりと湯を沸かします。非常に濃く淹れたお茶の入ったティーポットは、上部で保温されます。お茶をサーブする際は、少量のお茶をカップに注ぎ、適温のお湯を注ぎ足します。

サモワールは、ロシア人家庭においてアイコニックな大切なもので、誰に尋ねても家族の一員だというくらい特別なものです。湯が沸き始めるのを、「サモワールが歌う」と表現するのもロシアの伝統です。賑やかな会話が宙を漂い、友人や家族がその周りに集まって一杯のお茶と美味なスイーツを愉しんでいると、まるで時間が止まっているかのよう。こうしたシンプルな日々の歓びの瞬間は、居心地のよさ、友情、そして愛情のこもった思い出で雰囲気が作られるのです。

芸術作品

現在ではほとんどのサモワールが電熱式になりましたが、ロシア人家庭では旧式のものを大切に保管し、愛情を込めて次世代に受け継いで行きます。つまり、各サモワールがそれを所有した人のストーリーを語り継いでいくというわけです。今では家庭の装飾として使用されているとはいえ、サモワールは家族の集まるテーブルの中央に誇らしく置かれていることがほとんどです。素晴らしく美しい仕上げのハンドル、洗練された彫刻、紋章、手描きの装飾など、芸術作品そのものといったものもあります。こうした伝統的なモデルは通常は銅製ですが、エナメル、ブロンズ、真鍮、シルバー、果てはゴールドのものまであるのです !

長い歴史

サモワールの起源には諸説があり、その始まりは古代にまで遡るという説もあります。しかし一般的には、「現代の」ロシアのサモワールは18世紀のウラル地方を起源としていると言われています。最初の製造所はモスクワの南部に位置し、当時既に金属加工職人の技術で有名だったトゥーラという街に開設されました。小さな自治体はこの遺産を誇りにしており、今日でもサモワールは街のシンボルです。

電熱ケトルは忘れて、極上のロシアの伝統に従ってサモワールで完璧なお茶を淹れてみませんか…